マグネシウムは、筋肉や神経の働き、骨の形成、エネルギー代謝などに関わる必須ミネラルです。

海藻類やナッツ類、大豆製品などに含まれていますが、食事から十分に摂取できない場合には、サプリメントで補う方法もあります。
市販のマグネシウムサプリメントには酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウムなどがあり、種類によって吸収のされやすさや含有量が異なります。
過剰に摂取すると下痢などの副作用が生じることもあります。
この記事では、マグネシウムサプリメントに期待される効果をはじめ、種類ごとの違いや選び方、適切な摂取量、副作用について解説します。
マグネシウムサプリメントとは?


マグネシウムサプリメントは、体に必要なミネラルの一種であるマグネシウムを補給するための健康食品です。
マグネシウムは、海藻類やナッツ類、大豆製品などに含まれています。食事から十分に摂取できない場合には、サプリメントによる補給も選択肢になります。
また、市販の製品には、酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウムなど、異なる化合物を使用したものがあります。
マグネシウムの役割と働き
マグネシウムは、体内に存在する必須ミネラルの一つです。



成人の体内には約20〜30gが含まれ、そのうち約50〜60%が骨や歯に存在しています。
体内では300種類以上の酵素反応に関与し、主に次のような働きを担っています。
- エネルギー代謝
ATPを利用する反応に関わり、細胞の活動を支える - 筋肉の収縮
筋肉の収縮と弛緩を調節する - 神経機能
神経からの情報伝達や興奮の調節に関わる - 骨の形成
カルシウムなどとともに骨の構造や代謝を支える - たんぱく質の合成
体内でたんぱく質を作る過程に関与する
このように、マグネシウムは特定の臓器だけでなく、全身のさまざまな生理機能に必要とされる栄養素です。
マグネシウムが不足するとどうなる?
マグネシウムが不足すると、筋肉や神経の働き、エネルギー代謝などに異常が生じることがあります。
不足によって現れる可能性がある症状には、食欲不振、吐き気、疲労感、筋肉のけいれん、しびれなどがあります。
重度の欠乏では、不整脈やけいれん発作などを引き起こす場合もあります。
マグネシウム不足は、食事からの摂取量が少ない場合だけでなく、消化吸収に問題がある場合や、一部の医薬品の影響などによって生じることもあります。
血液中のマグネシウム濃度は体内で調節されているため、通常の血液検査だけでは体内の貯蔵量を正確に把握できない場合があります。
不足が疑われる場合は、自己判断で大量に補給せず、食生活や健康状態を踏まえて医師などに相談してください。
参考資料:
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)マグネシウム」
厚生労働省 eJIM「マグネシウム」
マグネシウムサプリメントに期待される効果


マグネシウムは、筋肉や神経の働き、骨の形成、エネルギー代謝などに関わる必須ミネラルです。
サプリメントによって不足分を補うことで、これらの生理機能を正常に保つために必要な栄養素を確保できます。
筋肉や神経の正常な働きを支える
筋肉が収縮したり緩んだりする過程には、カルシウムとマグネシウムが関わっています。
カルシウムは筋肉の収縮を引き起こす信号として働き、マグネシウムはカルシウムの働きを調節するなど、正常な筋肉の活動を支えています。
また、マグネシウムは神経細胞の興奮や情報伝達にも関与する成分です。
体内のマグネシウムが著しく不足すると、筋肉のけいれんや震え、しびれなどの症状が現れる場合があります。



こうした働きから、マグネシウムは筋肉や神経の健康を維持するために欠かせない栄養素といえます。
骨の健康維持に関わる
成人の体内に存在するマグネシウムの約50〜60%は、骨に含まれています。
骨を構成するミネラルとしてはカルシウムがよく知られていますが、マグネシウムも骨の形成や維持に関与しています。
さらに、骨の代謝に関わるビタミンDや副甲状腺ホルモンの働きとも関係しています。
マグネシウムの摂取量と骨密度の関係を調べた研究では、摂取量が多い人ほど骨密度が高い傾向を示した例があります。
一方、マグネシウムサプリメントを摂取することで骨折を予防できるかどうかについては、十分な科学的根拠が確立されていません。
骨の健康を考える際には、カルシウムやビタミンDとともに、マグネシウムの摂取状況にも目を向ける必要があります。
エネルギー代謝を助ける
食事から摂取した糖質や脂質は、体内で分解され、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを運ぶ物質の生成に利用されます。
マグネシウムは、このATPを利用する多くの酵素反応に関与しています。
ATPは細胞内でマグネシウムと結合した状態で働くことが多く、体内のエネルギー利用に欠かせません。
具体的には、次のような反応を支えています。
- 糖質の代謝
ブドウ糖を分解してエネルギーを取り出す過程 - ATPの利用
細胞がATPを使って活動する際の酵素反応 - たんぱく質の合成
アミノ酸からたんぱく質を作る過程
マグネシウムが不足すると、こうした代謝反応が正常に進みにくくなり、疲労感や脱力感などが現れる場合があります。
そのため、摂取量が不足している人にとって、サプリメントは必要なマグネシウムを補う手段となります。
参考資料
米国国立衛生研究所(NIH)Office of Dietary Supplements「Magnesium – Health Professional Fact Sheet」
マグネシウムサプリメントの種類と選び方


マグネシウムサプリメントには、酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウム、塩化マグネシウムなど、複数の種類があります。
これらはマグネシウムに結びついている物質が異なり、体内への吸収のされやすさや、製品に含まれるマグネシウムの割合にも違いがあります。
酸化マグネシウム・クエン酸マグネシウムなどの違い
サプリメントに使用される代表的なマグネシウムの種類と特徴を比較すると、以下のようになります。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 酸化マグネシウム | マグネシウムの含有割合が高い一方、水に溶けにくく、吸収率は比較的低い |
| クエン酸マグネシウム | 水に溶けやすく、酸化マグネシウムより吸収されやすい傾向がある |
| 塩化マグネシウム | 水溶性が高く、体内への吸収率が比較的高い |
| 乳酸マグネシウム | 有機酸と結合した形態で、比較的吸収されやすい |
| アスパラギン酸マグネシウム | アミノ酸の一種と結合した形態で、比較的吸収されやすい |
米国国立衛生研究所(NIH)によると、小規模な研究では、クエン酸マグネシウムや塩化マグネシウムなどの方が、酸化マグネシウムよりも体内への吸収率が高いことが報告されています。
酸化マグネシウムは、化合物全体に占めるマグネシウムの割合が約60%と高く、少ない原料重量で多くのマグネシウムを配合できる特徴があります。
一方、クエン酸マグネシウムなどは、化合物中のマグネシウムの割合こそ低いものの、溶解性や吸収の面で利点があります。



栄養補給を目的として選ぶ場合は、価格や含有量だけでなく、使用されているマグネシウムの種類も比較するとよいでしょう。
参考資料
厚生労働省 eJIM「マグネシウム[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 医療者]」
吸収率とマグネシウム含有量の確認方法
マグネシウムサプリメントを比較するときは、パッケージに表示されている数値が何を表しているか確認しましょう。
例えば、「酸化マグネシウム400mg」と表示されている製品と、「マグネシウム240mg」と表示されている製品では、数値の意味が異なる場合があります。
前者は酸化マグネシウムという化合物の重量、後者はマグネシウムそのものの重量を示している可能性があるためです。



以下は確認したい項目です。
- マグネシウム含有量
1日分で実際に何mgのマグネシウムを補給できるか - 原料の種類
酸化物、クエン酸塩、塩化物など、どの形態が使われているか - 1日の摂取目安量
表示されている含有量が何粒分に相当するか - その他の配合成分
カルシウムや亜鉛など、別のミネラルが含まれているか
吸収率については、化合物の種類だけで決まるわけではありません。摂取量や食事の内容、個人の栄養状態などによっても変化します。
そのため、吸収率を単純なパーセンテージで比較して、最も高い製品を選べばよいというものではありません。
また、サプリメントの含有量は、普段の食事から摂取しているマグネシウムの量と合わせて考える必要があります。
必要以上に多く摂取すると、下痢などの症状が起こることがあります。
マグネシウムサプリメントの摂取量と飲み方


マグネシウムサプリメントの摂取量は、年齢や性別、普段の食事から摂取している量によって調整する必要があります。



マグネシウムは食品からも摂取できるため、1日の推奨量をすべてサプリメントで補う必要はありません。
1日の推奨摂取量はどのくらい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のマグネシウム推奨量が年齢・性別ごとに定められています。
| 年齢 | 男性の推奨量 | 女性の推奨量 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 340mg | 280mg |
| 30〜49歳 | 380mg | 290mg |
| 50〜64歳 | 370mg | 290mg |
| 65〜74歳 | 350mg | 280mg |
| 75歳以上 | 330mg | 270mg |
※いずれも1日あたりの推奨量です。妊娠中は年齢に応じた推奨量に40mgが加算されます。
例えば、30〜49歳の男性では1日380mgが推奨されています。食事から300mgを摂取している場合、不足分の80mgを補うことが一つの考え方です。
ここで注意したいのが、1日の推奨量とサプリメントから摂取してよい上限量は異なるという点です。
厚生労働省は、通常の食品以外から摂取するマグネシウムについて、成人の耐容上限量を1日350mgとしています。
マグネシウムを過剰に摂取すると、下痢や腹痛などを引き起こすおそれがあります。
参考資料
厚生労働省「食事による栄養摂取量の基準(日本人の食事摂取基準2025年版に対応)」
飲むタイミングや食事との関係
マグネシウムサプリメントを飲む時間帯について、朝と夜のどちらが優れているかを示す十分な科学的根拠はありません。
一般的には、製品に記載された摂取方法に従い、食事のタイミングに合わせて飲むことが多いです。
空腹時に摂取すると胃腸に不快感が生じる人もいるため、食後に飲むことで負担を軽減できる場合があります。
また、1日分をまとめて摂取すると下痢などが起こる場合には、摂取量や回数を見直す必要があります。
一部の医薬品との飲み合わせにも注意が必要です。
例えば、テトラサイクリン系やキノロン系の抗菌薬は、マグネシウムと同時に摂取すると薬の吸収が低下することがあります。骨粗しょう症の治療に使われるビスホスホネート製剤も、マグネシウムによって吸収が妨げられる場合があります。



医薬品を服用している人は、サプリメントとの服用間隔について医師や薬剤師に確認してください。
腎機能が低下している人についても、マグネシウムが体内に蓄積するおそれがあるため、自己判断での摂取は避ける必要があります。
マグネシウムサプリメントの副作用と注意点


マグネシウムは体に必要なミネラルですが、ここまで紹介したように、過剰に摂取すると下痢や腹痛などの副作用が生じることがあります。
また、腎機能が低下している人や特定の医薬品を服用している人では、健康上のリスクが高まる場合があります。
過剰摂取による下痢や高マグネシウム血症
マグネシウムサプリメントで比較的起こりやすい副作用は、下痢や腹痛、吐き気などの消化器症状です。
吸収されなかったマグネシウムが腸内に残ると、浸透圧の作用によって腸内の水分量が増え、便が軟らかくなることがあります。
さらに、マグネシウムが体内に過剰に蓄積すると、「高マグネシウム血症」を引き起こすおそれがあります。
高マグネシウム血症では、血液中のマグネシウム濃度が異常に高くなり、症状が進行すると生命に関わることもあります。
主な症状は以下のとおりです。
| 症状 | 具体的な状態 |
|---|---|
| 消化器症状 | 吐き気・嘔吐 |
| 筋肉への影響 | 筋力低下・脱力感 |
| 循環器への影響 | 血圧低下・脈が遅くなる |
| 神経への影響 | 強い眠気・意識障害 |
| 重症時 | 呼吸抑制・不整脈・心停止 |
通常の食事でマグネシウムを摂りすぎることは、健康な人ではほとんど問題になりません。
余分なマグネシウムは主に腎臓から排泄されるためです。
一方、サプリメントやマグネシウムを含む医薬品を大量に使用した場合には、高マグネシウム血症のリスクが生じます。
強い脱力感や呼吸困難、意識の異常などが現れた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
薬との飲み合わせや腎機能に関する注意点
マグネシウムは一部の医薬品の吸収や排泄に影響します。
以下は特に注意が必要な医薬品です。
| 医薬品の種類 | 注意点 |
|---|---|
| テトラサイクリン系抗菌薬 | マグネシウムとの結合によって薬の吸収が低下する |
| キノロン系抗菌薬 | 同時摂取によって薬の吸収が妨げられる |
| ビスホスホネート製剤 | 骨粗しょう症治療薬の吸収が低下する場合がある |
| 利尿薬 | 種類によってマグネシウムの排泄量が増減する |
これらの医薬品を使用する場合には、マグネシウムサプリメントとの服用間隔を空けるなどの対応が必要になることがあります。
具体的な間隔は薬によって異なるため、医師や薬剤師の指示に従ってください。
腎機能が低下している人は、マグネシウムの排泄能力が低下することで、通常よりも少ない摂取量で高マグネシウム血症を発症する可能性があります。
また、便秘薬や制酸薬にもマグネシウムが含まれる製品があるため、サプリメントとの重複摂取にも注意が必要です。
まとめ
マグネシウムサプリメントは、食事だけでは不足しがちなマグネシウムを補給できる健康食品です。
マグネシウムは筋肉や神経の働き、骨の形成、エネルギー代謝などに関わっており、健康維持に欠かせない栄養素の一つです。
サプリメントには酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウムなど複数の種類があり、吸収のされやすさや含有量に違いがあります。
製品を選ぶ際には、マグネシウムの種類や含有量、普段の食事からの摂取量を確認し、自分に必要な量を見極めましょう。
過剰摂取による副作用や医薬品との相互作用にも配慮しながら、食生活で不足する分を補う方法として活用してください。




